バンコクでの経験
2009年 08月 06日
昨日、エコツアーでボランティアをしてくれている日本人の愛ちゃんが、ミラーのホームページ上でスタッフの紹介記事を掲載するためにスタッフにインタビューをしていました。
私のオフィス(人身売買防止プロジェクト、国籍取得プロジェクト、山地民(山岳民族)博物館プロジェクト)でもインタビューをするということだったので少しお手伝いをさせてもらいました。
インタビューの内容は、名前や出身地などからミラー財団で仕事をするきっかけや、どういう社会になってほしいか、など様々です。
皆、それぞれの想いを話していました。
特にこのオフィスはほとんどが山地民で、中には国籍を取得していない人もいますので、だんだん語り口が熱くなっていく人もいました。
博物館プロジェクトには「アサさん」というリス族の女性が働いています。
明るくて楽しい女性です。
普段はよく冗談も言ったりするのですが、改めてアサさんの問題意識だとかを聞いたことがなかったのですが、アサさんは山地民であるが故に過去にとても嫌な思いをしたそうです。
アサさんは「山地民のことを正確に理解してほしい」と思っています。
私たち外国人だけではなく、同じタイに住むタイ人(アサさんたち山地民もタイ国内に住むタイ国籍を持ったタイ人ですが、ここでは山地民ではない平地タイ人をタイ人と呼びます)も、山地民に関してほとんど何も理解していないということは珍しくありません。
そもそも、アサさんに言わせれば、「山岳民族」っていうけど、私はリスだし、アカの人もラフの人もいるでしょ。それぞれの文化があって歴史がある。同じじゃない。
以前バンコクのジュエリー工場で働いた経験があるそうですが、そこでは山地民であるということでいじめを受けていたそうです。
例えば・・・
山岳民族って、お風呂には1年に1回しか入らないんでしょ?
どうしてそんなにタイ語が下手なの?何言ってるかわかんないよ。
アサさん曰く、「どこに年に1回しかお風呂に入らない人がいるの?私は1日だって水浴びしなかったら気持ち悪くて眠れない」
タイ語に関しては、「私はタイ語のネイティブではないから上手でないのはあたりまえ!でも私はリス語は完璧に話せるし、タイ語だって話せるんだから2ヶ国語話せる。あなたはタイ語しかできないじゃない!っていってやったけどね」だそうです。
今は、どんないじわるされても言い返せるけど、前は気が小さかったので、毎日トイレで友達と泣いていたそうです。
そしてその友達(リス族)はとても美しかったそうで、男性従業員から執拗なセクハラを受けた挙句「山岳民族なんだから言うことを聞け!」と罵られたそうです。
リス族のお正月の様子
日本も格差社会、貧困問題などが取り上げられている昨今ですが、タイもかなりの貧富の差があります。
山地民の人びとは、現金がたくさんあるかといえば、ない人が多いのですが、その代り豊かな土地と豊富な森に関する知識や技術を持っています。
平地タイ人の中にもスラムなどでかなり厳しい生活をしている人もいますので、「○○族」だからお金持ちとか、生活が苦しいということにはなりません。
タイ人の多くは未だに山地民は焼き畑で自然破壊をしていると信じてやまない人もいるようですが、山地民の人たちはどの民族でも森を守っていく知識はタイ人には負けないでしょう。
最近ではだいぶ理解されてきたとはいえ、実は国内外の企業や政府がタイの木をバンバン切って売ったりしているのに、焼き畑のせいにされています。
アサさんはとにかく自分たちのことを正確に理解してほしいと思っているのです。
貧しくて汚くて麻薬を売って森を破壊するのが山地民ではなく、どんな文化や歴史があるのかを知ってほしいと望んでいます。
麻薬の取引にかかわる山地民は確かにいます。
なぜそのような犯罪に手を染めることになってしまったのか。
貨幣経済の急速な流入。
今まで使用していた土地が国有林になったことにより土地を手放した。
タイ語が十分に話せないために肉体労働しか仕事がない。
急速な発展や開発は時にマイノリティの人びとを傷つけています。
タイの北部もどんどん開発が進んでいます。
一昔前には畑しかなかったところも、今は新しい住宅が建ちきれいな道路があります。
美しいものに惹かれる気持ちはだれもが持っていると思います。
でも、新しいものだけが美しいものなのでしょうか。
人の欲求は時にほんとに底なしだなと思うことがあります。
もっと良くなりたい
もっと欲しい
このような気持ちが世界をこれだけ発展させたんでしょうけど、失ったものも大きいのではないかと思います。
アサさんの話を聞きながら、いろいろなことを考えました。
アサさんいろいろ話してくれてありがとう。
私のオフィス(人身売買防止プロジェクト、国籍取得プロジェクト、山地民(山岳民族)博物館プロジェクト)でもインタビューをするということだったので少しお手伝いをさせてもらいました。
インタビューの内容は、名前や出身地などからミラー財団で仕事をするきっかけや、どういう社会になってほしいか、など様々です。
皆、それぞれの想いを話していました。
特にこのオフィスはほとんどが山地民で、中には国籍を取得していない人もいますので、だんだん語り口が熱くなっていく人もいました。
博物館プロジェクトには「アサさん」というリス族の女性が働いています。
明るくて楽しい女性です。
普段はよく冗談も言ったりするのですが、改めてアサさんの問題意識だとかを聞いたことがなかったのですが、アサさんは山地民であるが故に過去にとても嫌な思いをしたそうです。
アサさんは「山地民のことを正確に理解してほしい」と思っています。
私たち外国人だけではなく、同じタイに住むタイ人(アサさんたち山地民もタイ国内に住むタイ国籍を持ったタイ人ですが、ここでは山地民ではない平地タイ人をタイ人と呼びます)も、山地民に関してほとんど何も理解していないということは珍しくありません。
そもそも、アサさんに言わせれば、「山岳民族」っていうけど、私はリスだし、アカの人もラフの人もいるでしょ。それぞれの文化があって歴史がある。同じじゃない。
以前バンコクのジュエリー工場で働いた経験があるそうですが、そこでは山地民であるということでいじめを受けていたそうです。
例えば・・・
山岳民族って、お風呂には1年に1回しか入らないんでしょ?
どうしてそんなにタイ語が下手なの?何言ってるかわかんないよ。
アサさん曰く、「どこに年に1回しかお風呂に入らない人がいるの?私は1日だって水浴びしなかったら気持ち悪くて眠れない」
タイ語に関しては、「私はタイ語のネイティブではないから上手でないのはあたりまえ!でも私はリス語は完璧に話せるし、タイ語だって話せるんだから2ヶ国語話せる。あなたはタイ語しかできないじゃない!っていってやったけどね」だそうです。
今は、どんないじわるされても言い返せるけど、前は気が小さかったので、毎日トイレで友達と泣いていたそうです。
そしてその友達(リス族)はとても美しかったそうで、男性従業員から執拗なセクハラを受けた挙句「山岳民族なんだから言うことを聞け!」と罵られたそうです。
リス族のお正月の様子
日本も格差社会、貧困問題などが取り上げられている昨今ですが、タイもかなりの貧富の差があります。
山地民の人びとは、現金がたくさんあるかといえば、ない人が多いのですが、その代り豊かな土地と豊富な森に関する知識や技術を持っています。
平地タイ人の中にもスラムなどでかなり厳しい生活をしている人もいますので、「○○族」だからお金持ちとか、生活が苦しいということにはなりません。
タイ人の多くは未だに山地民は焼き畑で自然破壊をしていると信じてやまない人もいるようですが、山地民の人たちはどの民族でも森を守っていく知識はタイ人には負けないでしょう。
最近ではだいぶ理解されてきたとはいえ、実は国内外の企業や政府がタイの木をバンバン切って売ったりしているのに、焼き畑のせいにされています。
アサさんはとにかく自分たちのことを正確に理解してほしいと思っているのです。
貧しくて汚くて麻薬を売って森を破壊するのが山地民ではなく、どんな文化や歴史があるのかを知ってほしいと望んでいます。
麻薬の取引にかかわる山地民は確かにいます。
なぜそのような犯罪に手を染めることになってしまったのか。
貨幣経済の急速な流入。
今まで使用していた土地が国有林になったことにより土地を手放した。
タイ語が十分に話せないために肉体労働しか仕事がない。
急速な発展や開発は時にマイノリティの人びとを傷つけています。
タイの北部もどんどん開発が進んでいます。
一昔前には畑しかなかったところも、今は新しい住宅が建ちきれいな道路があります。
美しいものに惹かれる気持ちはだれもが持っていると思います。
でも、新しいものだけが美しいものなのでしょうか。
人の欲求は時にほんとに底なしだなと思うことがあります。
もっと良くなりたい
もっと欲しい
このような気持ちが世界をこれだけ発展させたんでしょうけど、失ったものも大きいのではないかと思います。
アサさんの話を聞きながら、いろいろなことを考えました。
アサさんいろいろ話してくれてありがとう。
by mirroraht
| 2009-08-06 18:25
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